照らされて、光合成

リーフィアとランクマに挑むトレーナーの記録

【藍の円盤感想】カキツバタについての妄想【ポケモンSV】

どうも、えすくまです

 

皆さんポケモンSV DLC「藍の円盤」はプレイされましたか?

きっと好きなポケモンの内定に歓喜したり、スグリの変化に涙したり、血眼になってブルレクに勤しんだりと三者三様に楽しまれている事でしょう。

 

かく言う私も四天王の1人、カキツバタに夢中です。

第一印象は、前髪が浅草の某ビルのオブジェに似ているな…だったのですが、ストーリーを通して彼の飄々とした振る舞いやキャラ設定に惹かれ、気づいたらあれやこれやと妄想しておりました。今回はその妄想を書き起こしてみようかなと思い、筆を取った次第です。

※本編で言及されていない人物像やキャラ設定についても憶測で記しています。

 

カキツバタスグリ

皆さんはカキツバタにどんな印象を持たれましたか?Xでは賛否両論あるように見えますが、細かく見ていくと否の意見が多いのに対して「いや、否だけじゃないのよ。○○な面もあるんじゃないかな」「キツい言い方してるけど、こんな背景があるかもしれないよ」と言ったような、「」と「否ではない(=賛とは言い切らない)」の二項が多いように感じます。

主人公に負けた直後のスグリへの「元チャンピオン」発言はかなり圧がありましたし、言われた事を言い返したにしても大人気ない感じはしますね。年上ですし。留年してる分際ですし。勝てなかった側の嫌味ですし。否定的な意見が散見される理由も分かります。

ただ私はカキツバタを「否ではない」側として捉えています。

このシーンのカキツバタスグリに対して威圧したようにも見えますが、主人公に祝いのマスターボールを渡した後、眉頭を少し上げながらスグリに向かって「前みたいに 楽しく やろうや」と言っているんですよね。ここ、眉頭を少し上げる描写が重要かなと思っていまして、表情自体かなり穏やかに感じませんか。強要しているわけでもなく、スグリ自身に問いかけているように聞こえました。実際、キタカミ以前のスグリの様子も気にかけていたようですし(ゼイユがいたから接触は少なかったかも…?)、心根の優しさは感じます。また、「誰かがあいつの目を覚まさせてやらねぇと 良くねぇ」とも口にしていましたし、キタカミ以前も以降も変わらず気にかけていたことは作中の描写からも明白です。楽をすることが板についちまったオイラにはできなかった…と本人が限界を悟った後も、捨て置くことなくその役目を主人公に託しています。

では、なぜこんな大人げないカスみたいな煽りをしたのでしょうか…。

ここからは、完全に妄想になりますが、スグリを慰めさせないため、ではないでしょうか。この時のスグリにとって慰めと同情が最も心を抉る言葉になるでしょう。主人公を倒すためだけに鍛え続けてきたのに勝てなかったことで、勝利への執着と勝利できなかった現実との間で打ちのめされていますしね。きっと快活なアカマツは励ましの言葉を口にするでしょう。もしかしたら心優しいタロも情に流されてうっかり優しい言葉をかけてしまうかもしれない。ネリネは定刻ですとかいって急にお昼ご飯を持ってきてしまうかもしれない。実際アカマツは空気を読まずに「よく頑張った」と言っています(悪気ないのにね…)。でも自分がここで嫌われ役を買って出れば、きっとタロの優しさは「スグリを慰める」のではなく「カキツバタを叱る」方へ働くでしょう。こうすることで、慰めも同情もできない、声をかけられない空気感を作り出せます。この直後、主人公の台詞選択肢に「声をかける」と「声をかけない」の両方が出ていますし、プレイヤー視点でもとても声をかけられないと感じるシーンになるだろう、という制作の意図も感じます。

カキツバタは、徹底的に打ちのめされ、深い内省と失意に陥ることでスグリ自身に本来の自分を気付かせ、キタカミ以前のような楽しくポケモンバトルをするスグリに戻って欲しかったのかもしれません。「前みたいに 楽しく やろうや」は、本音であり壊れた心に優しく投げ入れるダメ押しだったのでしょう。

 

まあ残念ながら、スグリの執着はカキツバタの想定以上であり、そんな程度で改心することはありませんでした。…ん~、カキツバタはキタカミで何があったかを詳しくは知らないでしょうから、スグリの執着の根の深さを見誤っても不思議ではないでしょうね。多分ゼイユはツバっさんにスグリのことは話さないでしょうし。結果的に失敗に終わります。単純明快なアカマツにすら嫌われ役を買って出ると見抜かれるほどですから、大体の揉め事を自己犠牲的に処理してきたんでしょうし、本人にとっては最も「楽な」やり方だったのでしょうね。楽をするのが板についたカキツバタらしいですが、楽なやり方に逃げたわけですから上手くいかなくて当然ですかね。

ただ、スグリのことを気にかけ続けていたことは確かです。やり方は間違っていたかもしませんが…。せつねーですよ、これは。

 

余談ですが、カキツバタを倒すと「ドラゴンエール」の技マシンをもらえます。スグリのエースであるカミツオロチがカミッチュから進化する条件は「ドラゴンエールを覚えた状態で進化する」ことだったりします。なにやら、匂わされている気がします。カキツバタの一連の行動は、小さな竜の使い手たるスグリへのエールだったのかもしれませんね。

 

 

カキツバタとシャガ&アイリス

BWシリーズに登場するアイリス。彼女の出身は竜の里ですが、バトルの腕を見込まれてソウリュウシティのシャガの元で修行しています。カキツバタソウリュウシティ出身であり、作中でシャガの血縁であることが示されています。Xでもカキツバタとシャガ&アイリスの面識や関係性については多く考察されていますし、直感的にも切っても切れない関連性があるかと思います。

 

ちなみに、カキツバタという植物はショウブやサフランなどと同じくアヤメ科の植物ですが、アイリスとシャガもまたアヤメ科の植物であり元ネタからも共通項を見出すことができます。というか、アヤメ自体をアイリスと総称するそうです。その他、アイリスもカキツバタも紫を基調としたキャラクターでありながら、黒褐色のアイリスに対して白色白髪のカキツバタという対比にもなっています。また、これは風呂敷を広げ過ぎているかもしれませんが、「いずれアヤメかカキツバタ」という言葉があり、アヤメがアイリスを表すのであればカキツバタはアイリス(アヤメ)の対比として描きやすい名称と言えるかもしれません。言葉の意味は「優れた二つの間に優劣を付けられない」といったニュアンスです。二人と接点のありそうなシャガ視点ならば、この言葉も二人の関係性に投影できそうです。また、シャガにはアイリスとカキツバタに優劣を付けられなかったが、二人は直接のショウブを通して決着をつけていた…という事もあり得るかもしれません。その結果、アイリスはイッシュ地方ソウリュウシティで修行する道へ、カキツバタは故郷を離れ寮制のブルーベリー学園で修行する道へ進んでいった…というのも面白いです。